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暗渠

2009-05-06

ホテルでの怖い話

| 20:06 |  ホテルでの怖い話 - 暗渠 を含むブックマーク はてなブックマーク -  ホテルでの怖い話 - 暗渠

無論、このブログホテルと言えばラブホテルブティックホテルファッションホテルレジャーホテルの類の事です。一応、念の為。

さて怖い話です。

今まで怖い女性の話をいくつか書いて参りましたが、今回も女性の話です。怖い女性の話

ただ、今回は少し毛色が違います。怖い話というか怪談というか。更に言えば時期尚早。ちょっと早くないですか?怪談なんて。

世間はゴールデンウィークですよGW日本語で言うと金週。お金を使う週って意味です。

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ばけものに関する話。妖怪幽霊・鬼・狐・狸などについての迷信的な口碑・伝説。(出典/広辞苑第二版)

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もう勘のいい人はどんな話か落ちまで読めてしまっているかもしれません。

それほど長い話ではありませんので、お付き合い頂けたらと思います。




つい、先日。

先日というか昨夜の話です。

連れとぶらぶらデートをして、朝までのんびり時間を使おうとホテルに泊まりました。

連れは腕の中で寝息をスースーたててます。終わったあとのダルさと共にぼーっとしながら時間が過ぎていく感覚楽しみます。無為に時間を過ごす贅沢。

外では、


「きゃっきゃ」

「あはは」


女性特有の話し声が聴こえます。

連休、みんな飲んで飲まれて楽しそうです。本当に不景気なんでしょうか?

そんな事を考えているとまぶたも少しずつ重くなり始めました、ウトウト。ウトウトと。

安っぽい調光で薄暗くなった室内を寝ぼけまなこで見渡します。

部屋に入り口の壁の一部に光が射しています。どうやら玄関の明かりが入ってきているようです。


玄関の明かりは消したような…?


確認しに行こうにも連れを起こすのは悪いですし、眠くて面倒だったので大して気にも留めませんでした。

ぼんやりとした視界は時間感覚をもまどろんだその空間に飲み込んでいきます。

入り口に射した光に一瞬。黒い影がうつりました。

それを見て、廊下の明かりが漏れているんだと思いました。誰かが廊下を横切った。その影。

相変わらずカーテンの掛かった窓の外の下のほうからは時折、女性やら男性やらの楽しげな声が聞こえます。


「きゃっきゃ」

「うふふ」


ぼんやりした視界、見ている全てが間接視野のような視界。

それと同じような聴覚。聞いているようで聞いていない。聞いてもないのに耳に入ってくる環境音。

眠るには最高のBGMです。週末の街の夜。



ドタドタドタと廊下を走り抜ける音が聞こえました。

足音からすると二人?酔っ払ったカップルでしょうか。


「きゃっきゃ」

「いやーん」


どうして遠くから聞く女性達の声というのは、いつどこで聞いても同じように聞こえるのでしょうか。

視界の周りは暗くなってきています。もう起きていられない。このまま目を閉じたら朝になってしまいます。休前日の夜という特別な時間を失なってしまいます。

少しだけ、このまま眠ってしまうのが勿体無い。そう少し前に思って。思っていた事すらもうその時には忘れていました。どれくらいの時間が過ぎたのでしょうか?1時間?2時間?もしかしたら5分と経っていないかもしれません。



ドタドタドタと廊下を走り抜ける音が聞こえました。

流石にうるさいなと思いました。

いくらなんでもはしゃぎ過ぎだろうと。

フロント電話を掛けようか?そう考えた瞬間でした。

女の影

うずくまっているような

私の視線は部屋の入り口に向いています。

私はベッドの真ん中で横になっています。

枕を肩甲骨の辺りに当てて、肩から上を起こしています。

そして入り口は左。

当然、私の視線は左を向いています。

その視線から外れて、視界の右隅。

黒い何かが映っていました。

丸みを帯びたシルエットから女性かと思いました。

いや、このときは単純に全てを感じていました。

考えるという暇すらないような一瞬の出来事のような。

間接視野で視界を捉えるように全ての理解が一瞬で済んでいました。

さっきまでの騒がしさがありません。

窓の外からも何も聞こえず。廊下を走る足音も。連れの寝息さえも。

私は顔を動かせません。視線をそちらに向けると何かが始まってしまいそうだと、そしてそれを怖いと感じていました。

私が思考を中断した瞬間に突然現れた。それ。

しかし、おかしな感覚は続きます。視線を動かしていないのに間接視野から詳細な情報が流れ込んできます。

その女性はベッドに腰掛けています。私の足元に。

髪は毛先に掛けてウェーブが掛かっており、黒く光っています。

そして、黒のワンピース

女の影だと思ったのは黒のワンピースに腰まで真っ黒な髪の毛を伸ばした女性でした。

腰掛けた女性の髪の一部がシーツに垂れています。長い、長い髪の毛。

見たくない逃げ出したい怖い。そう思えば思うほど神経は意識はその女性に集中してしまいます。

声を上げるべきか迷いました。しかし、怖いのです。声を上げる事すら。

女性が動きました。片手を私の足元について、のそりとこちらに向かうような素振りをしました。

もう無理これは危ない危険が危ない

連れを起こそうと思いました。大きな声で起こして、すぐここを出ようと思いました。

視線を連れに向けるとさっきと同じように眠っています。

こんな事態なのに寝るなっと突っ込みたい自分をそれどころじゃないだろともう一人の自分が押さえ込みます。まるで馬鹿みたいです。本人は必死です。

そして連れに視線を落とした私の視界。左上に女がいます。

連れは私の左腕で寝ています。女はその横に腰掛けています。



!?



懐かしい週間少年マガジンの演出ではありません。頭の中で言葉にならないのです。

もうかっこ悪いとか言ってられません全身全霊を掛けて叫ぼうと思いました。あーでもきゃーでも。

腹部に力を込めます。B'zをカラオケで歌うときのようにシャウトしようと思いました。

しかし声がでません。声がでないというよりは口が開きません。私の意に反して口を「あ」の字にもできないのです。



終わった…



私は観念します。それが何なのかわかりません。

私はゆっくりと見上げます。その動作すら自分のものではありませんでした。

私の眼球だけは未だに下を見ています。本能がソレを見てはならないとでも言っているかのようです。

しかし、もしそれが何なのか見れるのならもうどうなっても、どうせ何もできないのだからと。

女は腰掛けています。私の連れには興味がないようです。見えていないような感じがします。それがわかって安心しました。

私は何かおかしい事に気が付きました。

女は腰掛けています。

しかし、胸の膨らみがこちら側にありました。

通常、ベッドに腰を掛けた状態でこちらを見るには上体を捻らないといけません。

しかし、その女は上体を捻っていません



ひぃ。



私は更にひとつ恐怖の層に沈みます。

もうやだ。情けない声でいいから上げたい。

女はベッドで眠る恋人にそうするように手を伸ばしてきました。

180度下半身と逆になった上半身。そこから生えた腕がゆっくりと伸びてきます。

という事は後ろ頭だと思っていたのは顔なのかと思いました。

長い髪を先から私の視線は上へと辿っていきます

女の手が私の視界に伸びてきます。

もう少しで顔が見える…

女の手が私の視界を遮ります。




そこで目が覚めました。

連れが不思議そうな顔でこちらを見ています。

「え…」

私は一瞬、状況が理解できず素っ頓狂な声を出します。

気の抜けた情けない声。自分を取り戻す安堵の声。口から出した声を耳から吸い込んで落ち着きます。

「あれ?もしかしてうなされてた?」

「うなされるって程じゃないけど白目でうーんうーんって言ってた」

「ちょ…」

「頭撫でたらとりあえず落ち着いたと思ったら起きた」

「ああ、そっか」

「なんか飲む?」

「う、うん」

私は確認します。玄関の明かりは消えていて入り口の壁には光など射していません。

しかし、夢で見たもの全ての配置とまったく同じです。気味が悪い。

冷蔵庫の開く音。

炭酸飲料の缶を開けるぷしゅっと言う音。

私は迷います。話すべきか。

ベッドから降りてすぐ脇にあったカーテンを開け窓を開けます。

開きませんイミテーション良かった窓なんてなかったんだ…。良くない。ぜんぜん良くない。飾りの窓枠に耳を当てても外からは何も聞こえません。そしてこの部屋は10階。

連れが持ってきてくれた飲み物を一気に飲み干します。

連れは私の異常にすぐさま気付いたようです。

私は顛末を話しました。

そして整理を兼ねて、部屋に置かれているノートにも書きました。

そういえばライ麦畑でつかまえての一節が書かれたノートが一時期どこのホテルにもあったのですが、あれはなんだったんでしょうか。

「なんかここ嫌な感じするから家に戻ろう?」

フロント電話を掛けて駐車場に向かいます。廊下は絨毯が敷かれていて軽くジャンプしてみても足音なんてしませんでした。そして外は強い雨が降っていました。酔っ払いが外に居る筈もありません。

車に乗り込もうとしたときに



「きゃっきゃ」

「うふふ」

「ねー?もーかえるのー?」



上の方から聞こえてきました



「なんか聞こえた?」



連れに確認します。



「ううん、何も?」



ここに書いた話がホテルノートにお世辞にも綺麗とは言えない字で書かれていたらその部屋では眠らない方が良いと思います。