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暗渠

2007-11-18

追ってくる女(1)

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とあるMMORPG

とある小さな国

銃と機械の小さな国

そこを根城にする少人数のギルド

ギルドとは仲間とかチームとかそんな感じの意味

珍しいモンスターを狙う訳でもない

珍しいモンスターは三日に一回しか出て来ないなど条件が厳しい

さらにとても強いためギルドの総力を上げて倒したりする

大人数で難易度の高いダンジョンを攻略する訳でもない

ただなんとなくログインする時間帯の合う人が数人集っただけのギルド

ログインというのはゲームの中に入る事


私は暇な時にふらっとログインしてはただ空を眺めていたり

ひたすら歩いて見知らぬ景色を見ては見知らぬモンスターに殺されたり

無謀にも一人でダンジョンへ入り奥深くに潜っては地上に出れなくなったりしていた



その日はお酒を呑みながらログインした

外でも呑んで来ていた為かなり酔っ払っていた

ギルドの中にも酔っ払って遊んでいる宗太が居た

宗太とはこのMMORPGを遊びはじめた頃にふと知り合った言わば旧友とも呼べる仲

話も面白いし趣味も合うのでゲームの中でゲームをせずにいつも下らない話をしては笑っていた

二人で何度も乾杯をしながら馬鹿な話をギルド中に振りまいていた

どこにいてもギルド内での会話は全メンバーに聞こえる

そこへ見慣れないIDの人が挨拶をしてきた



Amphitrîtê:「こんばんは。初めましてアンフィトリテといいます。これからよろしくお願いします」



酔っ払いながら笑っていた私と宗太は顔を合わせながら



宗太:「なんだって?それ読めない」

クル(私):「長いなアンでいいんじゃない?」



いきなり酔っ払いの歓迎を受けるアンと名乗った人

これはまずいと思ったのか実樹が会話に入ってきた



実樹:「ちょっとちょっとクルさんも宗太さんもそれはひどいよ」

宗太:「お?ミキが連れてきたの?」

実樹:「そうだよ。彼女は他のサーバーから引っ越してきたんだ。」

彼女と言ってもそれはゲーム上のキャラクター女性の格好をしているというだけで

中身が実は男なんて事も多々ある

他のサーバーというのはひとつのサーバーでひとつの世界が構成されている

大体ひとつのサーバーで4000人ほど遊ぶ事ができるようでそれがいくつかある

アン:「今も昔も回復役をやっています。前は結構な高レベルで遊んでました。」

クル:「へえじゃあベテランだ ギルドまとめてるクルと言います よろしく」

宗太:「酔っ払いの宗太です」

実樹:「これから顔合わせしようよ。今どこで呑んでるの?。」

ギルド内の会話は互いにどこにいてもできるのだが私と宗太はなぜか顔を合わせて呑む事を好んだ

そもそもゲームの中で呑んでいるのではないのだけれど

クル:「F-9の裏手の坂道登って突き当たったとこ」

宗太:「そろそろ花火が上がるぜ 来るんなら早くな」

アン:「わかりました。」

実樹:「おっけすぐ行く。」



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実樹:「よくこんなところ見つけるね。」

アン:「ホント、街路にはあんなに人が溢れてるのに。」

宗太:「こいつこーゆーのは鼻がいいんだよ」

クル:「もう少し褒めてもいいんじゃないの?人多いと重たいし」

一箇所に人が集ると動作が鈍くなるそれを「重い」とか「重たくなる」と言う



ひゅ~・・・

ばーん




宗太:「お ちょうど」

実樹:「いいタイミング。」

クル:「んじゃ花火とアンさんとギルド乾杯

アン:「た~ま~や~」




ひゅ~るるる・・・

どーん

ばーん



酔った眼で見たディスプレイの中の壮大な花火

それは少し空しく

それはこれからを祝うように

それは何かを暗示するように

ゲームの中の世界の夜が明けるまで上がり散り続けた

とても綺麗でいまもあのときの花火は忘れてはいない



宗太:「マティーニ

実樹:「キリンクラシックラガー。」

クル:「ヨ~グルトサワ~」

アン:「氷結レモン♪」

全員:「乾杯~」



みんなディスプレイの前ではそれぞれ好きなお酒を持ってきた

今までそうしてきたように何回も乾杯しながら

いろんな話をしたゲームの外の世界の夜が明けるまで



http://pretend.g.hatena.ne.jp/culvert/20071121/1195613230