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暗渠

2007-11-13

捨てる女(8)

| 16:30 |  捨てる女(8) - 暗渠 を含むブックマーク はてなブックマーク -  捨てる女(8) - 暗渠

http://pretend.g.hatena.ne.jp/culvert/20071108/1194487867から



立ち尽くしたままガタガタと震え出す彼女

触れるか触れないかの間隔で彼女の肩を抱く



「私の事好き?」

焦点の定まっていない瞳で私を見上げる彼女



「好きだよ」

抱き寄せる



「私の事信じられるの?」



「うん」



「私の事を信じられるなら・・・!」

突如私の首に彼女の細い指が滑り込む



「え?!」

そのまま倒れこみ壁に背中を打ち付ける



「か・・・」

痰が絡んだような音が喉から漏れ



「ん」

唇を重ねてくる彼女

手が解かれる



「はぁ・・・なにしてんだ・・・よ」

唇を離し長く息を吸い込む



「どうして」

吹けば飛んでしまいそうな彼女の音



「どうして?どうしてってこっちが聞きたいよ・・・」

自分の人生は誰かが操っているんじゃないだろうかと思える

こんな台詞を自分の口から言うなんて

わからないけどなんだかそっちは良くない気がするよ

と言い掛けてやめた

彼女は私が重荷になのでは?

壁にもたれ掛かり彼女を抱いたまま少しだけ眠った



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カーテンの隙間から入る光が瞼の裏を白く染める

手をかざしながら目を開ける

時計は7時前

僅かに呼吸している彼女を見る

何事もなかったかのような寝顔

静かに繰り返される呼吸音

きらきら光る部屋の埃

それを照らす光に包まれた彼女

屋根裏部屋にずっと放置された宝物みたいに

どこか古ぼけていてどこか懐かしくて

どこか壊れていてでも大切な



仕舞って置こう」



彼女をベッドに寝かせ部屋を出る

外に出て伸びをすると体中のあちこちが痛んだ

昔飼っていた猫

外でじゃれ合って傷だらけになって帰ってきてたっけ



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「別れよ?」

「うん」

「やっぱりまだだめみたい」

「そんな感じだね」

「本当ごめんなさい」

「ううんいいよ」

「でも勿体無いとも思うの」

「勿体無いって(笑)モノじゃないよ?」

「それはわかるんだけど他の女性と付き合うのかって想像するとね」

「いつかはね当分は一人でいいよ」

「じゃあ元気で」

「そっちこそ」



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多分これからも彼女は関係を築いては壊していくのだろう

彼女にとって幸せは手に入った途端に大きな不安となり彼女を押し潰す

彼女の部屋に何も無かったように彼女自身なにも持つ事はできないのだろう

それを病気のせいや薬のせいや周囲の環境のせいにする事で罪悪から逃れる

今度どこかで会った時に彼女には笑いかけてあげよう

隣に男性がいたら声を掛けるのをやめよう

彼女は捨てる女なのだから